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Shige's Photo Diaryに登場する曲を中心に音楽についての四方山話を綴ります


by shigepianoman2

You Needed Me

The Best...So Far
Anne Murray / Capitol



高校の頃だったと思います。ロック、そしてフュージョンへと聴くものが移行しつつあるころでした。ラジオからふと流れてきた静かなバラードに心が奪われました。シンプルな伴奏に、しっとりと安定したボーカル、そして美しい歌詞に心震わせたのを憶えています。この曲を聴いたのはこの一回。やがて忘れていきました(なんか最近このパターンが多いですね。実はこんな曲がたくさん!)。

最近になってふと思い出して、何の曲だったのか、どうしても知りたくなりました。例のごとく、断片的な記憶から歌詞に使われている英語を検索エンジンに入力してみました。キーワードはYou needed me、eternity、dignityです。そして、やった!それが今日ご紹介するアン・マレーのYou needed me(邦題「辛い別れ」。これに関しては後述します。)です。なんだタイトルだったんですね(笑)。

涙に濡れても、あなたは拭ってくれた
混乱していた心も、落ち着かせてくれた
魂を売ったのに、それを買い戻してくれた
私を立たせて、尊厳を回復してくれた

それはあなたが私のことを必要としてくれたから

あなたはひとりでしっかり立つ力をくれた
自分で世の中に立ち向かえるようにしてくれた
私のことを持ち上げて、人として尊敬してくれた
遥か遠くまで見通せるほどに高めてくれた

それはあなたが私のことを必要としてくれたから

私には信じられない
それがあなたのことだなんて
それが本当にそうだって
私こそあなたが必要だった

決してあなたとは離れたくないし
どうしてそんなことができるかしら
そんなにバカじゃない
やっと心から好きな人ができたのに

寒い時は、手を握っていてくれた
迷子になった時には、家に連れてきてくれた
私が絶望した時には、希望をくれた

そして私のうそを真実に変えてくれた
そして私のことを「友」とも呼んでくれた


まだまだ歌は続くのですが、聴いていると思わず涙が出てきますね。淡々としながらも、心を包むように安定した歌声のアン・マレー、もう最高です。

さて、この歌を聴くうちに邦題の「辛い別れ」というのが正しいのかどうか、わからなくなってきました。たしかに、歌詞には過去形が多く「別れ」とも考えられそうなのですが、途中でI'll never leaveという強い意志を示した歌詞がありますし、その直後にはI'd be a foolと仮定法が用いられています。僕には、どう考えても別れには思えないのです。あなたが私を必要としてくれたからこそ、私は一人の人間として自信が持てたし、人間としての尊厳を回復したという愛の賛歌だと思うのですが・・・みなさん、どう思われますか?

YouTubeの動画はこちらです






You put me high upon a pedestal
put --- upon a pedestalはそのまま訳すと(彫像などを)台座に置くなどという意味ですが、ここは「持ち上げる、尊敬する」などの意味だと思われます。自分という人間に自信が持てず落ち込んでいたのに、自分を台座に上げてくれた、すなわち尊敬に足る人間だと自覚させてくれたということでしょう。

おまけですが・・・
英語に接していると、日本語がいかに美しく繊細な言語であるかを知らされます。それに比べて英語の野暮なこと。でもそんな英語の中でも好きな単語があります。それがdignity。尊厳という言葉では訳しきれない、思わず背筋を伸ばしたくなるような響きがあります。
by shigepianoman2 | 2008-07-13 19:01 | Pops