Shige's Photo Diaryに登場する曲を中心に音楽についての四方山話を綴ります


by shigepianoman2

'Round Midnight

ラウンド・ミッドナイト(紙ジャケット仕様)

ハンク・ジョーンズ / ヴィレッジ・レコード



もう1月21日になってしまいましたが、やっとアップです。遅ればせながら、あけましておめでとうございます。今年Slightly out of Tuneをよろしくお願いいたします。

先日(もうかなり前)、いつものバーで飲んでいると、マスターが「これ聴いてみてください」と、一枚のアルバムを取り出しました。一曲目は僕の好きなMy Romance。一音目が鳴った瞬間からすっと引き込まれます。でも、無理やり引っ張られる感じはありません。なんともいえない枯れた味わいで、お酒とぶつかることもなく、飲む手をとめることもなく、自然に音が流れていきます。そのアルバムが今日ご紹介するHank Jonesの’Round Midnightです。

Hank Jonesはグレート・ジャズ・トリオでいくつか聴いたことがありましたが、最近はあまり聴いてませんでした。いつのアルバムかなとジャケットを見ていると・・・えっ、2004年。ってことは86歳の時の録音なんですね。そういえば最近、去年あたりだったかな、来日していますから、90歳を超えてなお現役。すばらしいことですね。

CDはスタンダード集となっていますが、1000のスタンダードナンバーを演奏でき、多くのジャズミュージシャンと何千曲も共演してきた職人芸は健在で、さすがに指のもつれを感じるところもないわけではないですが、実に巧みに音を操ります。決して饒舌になりすぎず、淡々とした演奏を聴かせてくれます。それなりに集中して演奏しているのでしょうが、聴いている者に緊張を与えません。彼の演奏を聴いていると、なぜ彼がこんな歳になっても演奏が続けられるのか、わかるような気がします。

ぜひ聴いてみてください。お茶を飲みながらでも、酒をのみながらでもいいでしょう。さらりと聞き流しながら、ふと気がつくとじっと耳を傾けている自分に気付くにちがいありません。

YouTubeから、1994年(76歳)のWillow weep for meです。

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by shigepianoman2 | 2010-01-21 19:19 | Jazz

Strokin'

ストローキン(K2HD/紙ジャケット仕様)

リチャード・ティー / ビクターエンタテインメント



200件目の記事を書いていて、Michel Petruccianiの映像をYouTubeで探している時でした。Petrucciani、Steve Gadd、Anthony JacksonのLive in TokyoでのTake the A trainを見つけて興奮して見ていると、関連映像のところに「Richard Tee & Steve Gadd - Take The A Train」なんてのを見つけました。まさか、でも、あれだよね。ピンときた僕は、すぐさまクリック。やっぱりそうだ!というわけで、今日はRichard TeeのStrokin'をご紹介しましょう。あっ、そうそう、このLive in Tokyoについてもいずれ記事にしますね。

Richard Teeといえば1970年代後半に活躍した伝説のグループStuffの中心メンバーであり、独特のストロークとラグタイムの要素を取り入れたファンキーなプレイが特徴のフュージョンピアニストです。すぐに彼のものだとわかる彼の個性的な演奏は1970~80年の多くのフュージョンアルバムで聴かれました。ナベサダとも何度も共演しています。彼の陽気な演奏は、聴く者が疲れてしまうような「きめ」やテクニック偏重の当時のフュージョンシーン(それはそれでかっこよくてよかったですが)の中で異彩を放ち、聴く者を楽しく、ほっとさせたものでした。でもやっぱりテクニックは超絶。彼の左手なんてコピーできません(笑)。

さて、このアルバム「Strokin'」は1979年にリリースされた彼の初リーダー作です。Bob Jamesの主宰するTappan Zeeレーベルからのリリースです。参加メンバーがまたすごい!Steve Gadd、Eric Gale、Chuck Rainey、Tom Scott、Michael Breckerと豪華メンバーが並びます。しかし、強力な参加メンバーであっても、アルバムは完全にリチャード色に染まっています。とにかくご機嫌な彼のサウンドは聴いていると思わず体が動いてしまいます。

最後のTake the A trainは別格として、僕の好きなのが、1曲目のStrokin'と5曲目のVirginia Sunday。Strokin'はミディアム・テンポののりのいい曲。強力なGaddのドラムにのせ、Richardのアコスティック・ピアノが自由奔放に踊ります。Ericの絶妙なカッティング、途中最高のタイミングでインするファンキーなTom Scottのテナー・サックスも最高です。Richardはさらっと弾いていますが(少なくともそうみえる)、こんなの弾けませんよ(笑)。Virginia Sundayはその透明感のあるローズが特徴。途中絡んでくるTom Scottのリリコンも絶妙です。

さあ、そして今日のメインはTake the A train。まあ聴いてみてくださいよ。
YouTubeの映像です。一つ目のは残念ながら途中で切れてしまいます。





ね、ね、すごいでしょ!この二人のコンビネーションのすごいこと。Richardの左手、どうしてこんな動きができるんだろう。でも不思議なことにこんなに弾きまくってても、聴いてて疲れません。やっぱり楽しくなってしまいます。そこが彼のピアノの最大の美点でしょうね。一時代を築いたRichard Teeですが、1993年、癌のため惜しくもこの世を去りました。合掌。
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by shigepianoman2 | 2009-06-13 21:22 | Jazz

Pianism

Pianism

Michel Petrucciani / Blue Note Records



2006年8月6日に本ブログを開設していらい早や2年と10ヶ月、途中記事の間隔が大きくあいてしまったことも何度かありますが、なんとか200記事目までこぎつけることができました。まずは、私のブログをご訪問いただいている皆様に深謝いたします。これからもよろしくお願いいたします。ついでに統計ですが、レポート数(ユニークアクセス)は累計でもう少しで20000アクセス、平均で一記事あたり約100アクセスです。最近のページビューは月あたり1000~1500となっています。メインのブログに比べると10分の1ですが、少々マニアックなブログにしては多くのみなさんにご訪問いただいており、うれしいかぎりです。

さて、200記事の区切りに何の記事をアップするか大いに迷ったのですが、やはりジャズにすることにしました。今日は奇跡のピアニストと称されるミシェル・ペトルチアーニのアルバム、「Pianism」をご紹介しましょう。ちょっと長いですがおつきあいください。最後まで読まれるとなぜこのアルバムを選んだのか、お分かりいただけると思います。

ミシェル・ペトルチアーニ(Michel Petrucciani)は、フランス出身のジャズ・ピアニストです。フランスでも最高のジャズ・ピアニストと評価されていました。36歳で急逝しましが、ショパンの墓のすぐ近くに埋葬されるほどに、人々から愛されていました。幼少の頃からクラシックピアノを学んでいましたが、彼の心にはデューク・エリントンのピアノ演奏が深く刻み込まれており、ジャズを志すようになりました。13歳で最初のコンサート、15歳でプロデビュー、18歳の時に初めてトリオを組みレコーディングをしました。さらに1982年(20歳)にはペトルチアーニはアメリカへ渡ります。アメリカではウェイン・ショーター、ディジー・ガレスピーなど様々なジャズミュージシャンと共演、フランス人としては初めて名門ジャズレーベルのブルーノート・レコードと契約にいたりました。彼はフランスの誇りでもあり、1994年にはレジョン・ドヌール勲章を受章、2002年6月にはパリ18区の広場が「ミシェル・ペトルチアーニ広場」と命名されました。

彼の演奏はビル・エヴァンスらの影響を受けてはいますが、そのスタイルは独自性が強く、リリカルでありながらエネルギッシュなプレイは人の心を強く揺さぶります。その音はしんの強いものでありながら、繊細なやさしさも内包しています。まずは彼のピアノを聴いてみてください。このアルバムには入っていないMy Romanceという曲で、短いクリップですが素晴らしいです。

YouTubeの映像です。



さあ、みなさんどうでしたでしょうか。多くの方が彼の演奏を初めて聴いた時、涙するといいます。僕もそのうちの一人、完全に彼の虜になりました。

ここまで、彼のもうひとつの特徴である先天性疾患のことはあえて書きませんでした。まずは彼の「音」を聴いて欲しかったからです。彼は骨形成不全症という先天性疾患を背負っていました。生まれつき骨が構造的に弱いため、身長は1mほどにしかのびず、骨の変形からくる感染症をはじめとした合併症により寿命が限られていました。彼の場合は20歳まで生きられればいいと言われていたようです。彼の骨は非常にもろかったので、演奏席まで他人に運んでもらわねばならなかったそうです。幸い腕は標準的なサイズであったので、鍵盤を弾くことはできました。とはいえ、体のハンディキャップは大きく、どうしてあのような素晴らしい演奏ができるのか、信じられないほどです。

繰り返しになりますが、彼は20歳までしか生きられないであろうと言われていました。でも音楽が彼の命を支えていたのでしょうか。実際には予想よりはるかに長く生きながらえることができました。しかしながら、人が人であるかぎり避けられない運命というものがあります。ツアー中にニューヨークで急性肺炎を起こし急逝しました。36歳の誕生日から10日足らずのことでした。

彼の音楽を聴くとどうして涙がでてくるんでしょうか。自らの不幸な運命を嘆き、自殺未遂を繰り返した時期もあったようですが、そんな彼の人生が悲惨だったからからでしょうか。いや、そうではありません。彼が先天性疾患を患った代わりに天から比類なき音楽の才能をもらったという事実があるからでしょうか。いえいえ、そんな陳腐なメロドラマでもありません。彼の音にはそんなことを微塵にも感じさせない生命の力があふれています。病気であることは、彼の多くある特徴・個性のひとつにすぎません。彼は短い人生ながらも人生を肯定的に受け入れ、自分の天賦の才を努力によって最大限に発揮させたのです。だからこそ、その音楽を聴く人が彼のエネルギーを感じとり、心を震わせるのです。

さて、アルバム「Pianism」の紹介です。1985年の作品であり、ブルーノート・レーベルでの初めてのリリースです。彼のアルバムのなかでは比較的地味ですが、僕はいちばん好きです。まず一曲目、Prayerが静かに始まります。最初の一音から、すっと心の中に入って彼の世界に包まれてしまいます。ピアノソロからドラムとベースが入ってインテンポに変わるところは、わずかに力強くなりますがまだ静かなまま、それなのにぐっときます。しばらくすると彼のピアノだけが素晴らしいのではないとわかってきます。ベースとドラムの絡み方が絶妙で彼のピアノをさらに高めているのです。静かに始まるアルバムとういのはあなどれません。そういえば、エバンスのワルツ・フォー・デビー、You must believe in springもそうですね。次のOur Tuneはご機嫌なサンバナンバー、バンドのメンバーの楽しそうな顔が目に浮かぶようです。テクニックは素晴らしく、彼に障害があること忘れてしまいます。まさにかっこいいという言葉がふさわしい4ビートナンバーのFace's Face、僕の好きなNight and Dayと続きます。Night and Dayのベースとドラムの入り方も最高。楽器が加わるのに、「静かに」 インしてきます。それに合わせるようにこれもまたすっと自然にタッチを抑え気味にするペトルチアーニも素晴らしいです。そう、呼吸と間と音の空間を読み取る力、バンドにもっとも大切なことでしょうね。そのあと、しっかりと刻まれたリズムの上で、自由奔放に指と手をすべらせ、腕を羽ばたかせるペトルチアーニ。9分半の時間があっという間に過ぎていきます。Here's that rainy dayは最初にほんの少しだけエバンスの影が横切りましたが、その後はまさにペトルチアーニ。彼独自の叙情がしっとりと音の中に内包されています。途中の息をのむような早弾きのところも、しっかりとしたテクニックのためか安心して身を任せられます。そして最後の曲のReginaがまたいい。渋いベースラインでかっこよく始まったと思うと、その後はまさにバンドが一体となって、緩急、強弱を自在に操ります。ふぅ~よかったあ・・・また聴こっと(笑)。

今日はミシェル・ペトルチアーニとの出会いを感謝して、記事を終わりたいと思います。ぜひとも彼のピアノを聴いてみてください。音楽の意味、いや人が生きるということの意味をふと考えたくなります。でもしばらくすると、音にすっかりと身を委ねてしまって何も考えなくなるんですよね(笑)。

さて、ほんとに長くなってしまいました。200記事目はいかがでしたでしょうか。これからもSlightly out of Tuneをよろしくお願いいたします。

もうひとつアップしておきましょう。Jim Hallとの共演で、Beautiful Loveです。


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by shigepianoman2 | 2009-06-05 17:19 | Jazz

こころの軌跡

フジ子・ヘミング こころの軌跡(CCCD)
フジ子・ヘミング / ビクターエンタテインメント



前回の記事では、日本のバンドが初登場ということでしたが、今度はクラシック初登場です!ますます、このブログ、収拾がつかなくなってきました。ジャズはどこいった?(笑)。

今日ご紹介するアルバムは、フジ子・へミングの「こころの軌跡」です。フジ子・へミングに興味はあったのですが、聴く機会がありませんでした。先日友人に薦められてこのアルバムを聴いてみました。さて、その感想は?今回は、多少は知っていますが、あえて彼女の生い立ちや音楽の背景などは調べずに、純粋に音楽としての感想を正直に書いています。一部だけですが、ファンの方には耳の痛いところもあるかもしれません。あらかじめご容赦ください。

クラシックの王道のピアノからすると、ちょっと違和感を感じる方が多いかもしれませんね。一曲目から、そんな印象です。ジャズピアノなどを多く聴いている僕にとっては、そのような違和感はありません。ちょっと人と違うなと思わせられて引き込まれます。たとえば、ラ・カンパネラは多くの方の演奏よりも遅めで重く、「ピアノの魔術師」といわれたリストの曲の演奏に期待される音ではないように思われます。それなのに、鍵盤を叩く指が、彼女の演奏する姿が、(僕は見たこともないのに)心に迫ってきます。一音一音に色があって、鍵盤に込められた彼女の心そのままに変化するようにも思えます。なんだろうこの人は。一体どんな人生を歩んだのだろう?愛の夢などでは思わず目頭が熱くなることもありました。なんだろう、この人のこの強い思いは?

ただし、テクニックという点からはちょっと拍子抜けした部分もあります。せっかく彼女の魂のうねりに心地よくのみこまれようとしている時に、音の荒さに気をそらされることも何度かありました。ここで音がほしいという時に、音が消えてしまうこともしばしば。彼女の演奏は曲と時宜を選びそうです。あまりに強く込められた心の重さが窮屈な時もあるでしょうし、感情だけが上滑りしてしまうこともあるでしょうね。テクニック偏重はいけませんが、テクニックを背景にさりげなく抑えた心のひだをのぞかせる、そんな演奏の方がいいと思う時もまた多いでしょう。彼女の若い頃の演奏はどうだったのでしょうか?聴いてみたくなりました。

そうはいっても、彼女の演奏が気に入ってしまったことに変わりはありません。ここが音楽の不思議なところですね。

さて、ここで他の人の演奏を聴いてみよっと。ちょいと手元にあるCDを出してっと。とりあえず見つかった三人を・・・
サンソン・フランソワ(すいません、また特徴のある人で)
う~ん、やっぱりいいなあ。音のひとつひとつに彼の特徴がこめられている。この個性(色気?)は捨てがたいな。酔っ払っているのではないかと思われるようなリズムのゆれもくせになってまたいいし。時として自分の世界に飛んでいって、聴くものを置き去りにするようなところもありますが、まさに官能的という言葉が合いそうな演奏です。ピアノを最初に習う時には彼はよくないかも(笑)。

ウラディーミル・アシュケナージ
やっぱり王道、そして模範的、安心して聴ける。真面目な人なんだろうなあ。一つ一つの曲を、しっかりと、誠心誠意弾いているように思います。

エフゲニー・キーシン
この人も、まさに王道。技巧に裏づけされた大胆、かつダイナミックな演奏は、その曲の解釈に対する絶対的な自信に満ち溢れているかのようです。「僕は今いい音楽を聴いている」という純粋な幸福感があります。天才なんでしょうね。彼のピアノを聴いていると、フジ子・へミングとはまた次元の違う感動があります。

息子にはどれを薦めようかな?
まずはアシュケナージでこういうものだって教えて、その後にキーシンかな。でも、ちょっと人生に疲れた時とかにふとフジ子・へミングを聴いてみても悪くないよ。そうそう、恋をして、別れて、人の死を知って・・・そうしたら聴いていいよ、ビル・エバンス(爆)。

さあ、ここまできて、音楽というものが、またわからなくなってしまいました。フジ子・へミングの「こころの軌跡」はクラシックを聴き込んでいる方も、あまり聴いていない方も、一度は聴いてみるべきアルバムです。そして、心の先に広がる音-音楽というものの本質が何なのか、じっくり考えてみてください。
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by shigepianoman2 | 2008-02-02 22:25 | Classic

Piano Man

Piano Man
Billy Joel / Sony Mid-Price



しばらく更新をサボってしまいました。ひさびさのアップです。今宵は70年代のニューヨークに行きましょう。長いですよ(笑)。

今日ご紹介するのは、もうみなさんよくご存知のビリー・ジョエルのPiano Manです。ピアノを弾く僕にとっては永遠の名曲。この曲を聴くだけで、そこがバーに早代わりしてしまいます。もちろん、飲む方じゃなくて、弾く方ね(笑)。今日はちょっと張り切って全部聞き取ってみました(ゼイゼイ)。途中よくわからなくて、聞き取りも訳も自信のないところがあるのですが、もし間違いがあったら教えてください。

アメリカで仕事していた時に、一度だけ彼のコンサートに行く機会がありました。最後のアンコール曲、首にはハーモニカが。もう会場のみんなは次に来るものがわかってました。そして・・・総立ちで合唱。僕は?もう泣きながら歌ってましたよ(笑)。


土曜の夜9時
いつもの客が集まりはじめる
老人がとなりでひとり
ジントニックをいとおしむようにすすっている

その老人は、「思い出ってやつを弾いてくれないか?
よく思い出せないのだが、悲しくて甘い歌さ。
若者の服を着てたころにははっきりと憶えていたんだがな。」

俺たちのために歌ってくれよ、ピアノマン
今夜、一曲歌ってくれよ
今日は歌を聴きたい、そんな気分なんだ
いい気分にしてくれよ

バーテンのジョンは僕の友達
酒をいつもただでのませてくれる
さっとグラスを持ってきてくれるんだ
ジョークを言ったり、タバコの火をつけてくれたりしながらね
でも彼にはここよりもっといい居場所があるはずなんだ

「ビル、俺はもううんざりしてるよ」
ジョンの顔から微笑みが消える
「俺は映画スターにだってなれるさ。
こんなところから出られたらね。」

ポールは小説家*
奥さんを見つける暇もなかった
彼はまだ海軍にいるデイビーと話をしている
きっと彼は死ぬまで海軍にいるんだろうな

ウエイトレスは駆け引きをしてる
少しずつ酔っぱらっていくビジネスマンとね
そう、みんな孤独っていう酒を分け合っているのさ
それでも一人で飲むよりはずっといい

土曜にしては結構こんでいる
マネージャーはにっこりと僕に微笑む
彼は知ってるんだ、みんな僕がいるから来てるんだってね
ほんのひとときでも現実の人生のことを忘れるためにね

ピアノの音がカーニバルのように鳴り響き
マイクはビールのにおいがする
客はバーに座り、お金を瓶にいれてくれる
そして言うんだ「いったい、あんたはここで何をやってるんだ?」


バーにはいろんな人が集まり、さまざまな人生が交錯します。よっぱらったり、口説いたり、音楽に浸ったり、笑ったり、泣いたり、怒ったり・・・。この曲を聴くと、そんな光景が目に浮かびませんか?そんな場所でピアノを弾くピアノマン。どんな気分だって?それはもう、決まってますよ。ステージの上のスター、そしてバーはコンサートホール。ピアノの音とともにカーニバルのようにくるくる回って・・・そういや、この曲三拍子だから、よく回れますよ(笑)。なんか、ピアノ弾きたくなってきた・・・

この後はしばらく70~80年代ポップ&ロックといきましょう。しかし、続けられるのか・・・?(苦笑)

PS *の小説家のところですが、real estate novelistの意味が最初わからなくて、小説家と仮にしておきました。この部分、どういう意味なんだろうってネイティブの人たちの間でも話題になっていたんですよ。ネットで検索してみたら・・・ビリー・ジョエルが直接答えているのを見つけました。これは「造語」であるとのこと。「本当は小説家になれるはずなんだけど」と、夢を見ながら不動産の仕事をしている人がいて、そのことをこう表現したのだそうです。うんざりしながら、生活のために不動産関係の書類ばっかり書いてる・・・そんな「小説家」であるという意味が込められているようです。

YouTubeの映像はこちらです。埋め込み禁なのでリンクだけ置いておきます。
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by shigepianoman2 | 2007-08-17 23:24 | Rock

We Will Meet Again

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写真と音楽のシリーズ、よさそうですね。今後も時々アップしたいと思います。

We will meet againは以前の記事でも少し書きました。とてもシンプルで美しいメロディとワルツのリズムが印象的な曲です。特に「We must believe in spring」に収録されたWe will meet againは最高です。エバンスのリリカルなピアノがいつにもまして美しく、心に染み入ります。ゴメスのベースが自然にすぅーっと入ってくるところはいつ聴いてもぞくっとします。

この曲が「You must believe in spring」というタイトルのアルバムに入っていることは、エバンスが当時絶望的な状況にあったことを思うと、いろいろと考えさせます。mustというのはかなり強い言葉です。そんな状況でも春を信じるしかないんだという悲壮な叫びが聞こえてくるような気がします。人はやはりほんの少しでも希望、いや希望という言葉はきれいすぎますね。この世に少しでもひっかかるものがないと生きていけないのでしょうね。

ビル・エバンス追悼のためのトリビュートアルバムはいくつか出ていますが、マッコイ・タイナーはそのなかのひとつでこの曲を演奏しています。激しく、大波のように押し寄せる音、エバンスのそれとは対照的です。エバンスが心に秘めていた激情をみんなに知ってもらいたい・・・そんなマッコイの悲痛な願いがあるかのようです。

この写真はそんな人の生と死に対する思いをこめて撮影したものです。枯れた花や葉は死の象徴でもありますが、そこには来るべき春への希望もあります。この記事を書くことで、一年四ヶ月を経て、やっとこの写真の完成した姿をみなさんにお見せすることができましたね(笑)。

元記事はこちらです。
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by shigepianoman2 | 2007-07-31 23:16 | Jazz

You Must Believe in Spring

You Must Believe in Spring
Bill Evans / Rhino/Warner Bros.




この記事で、100件目となりました!自分でもよくここまで続いたものだと思います。これからもマイペースで好き勝手させていただくと思いますが、よろしくお願いいたします。

ちょいと統計を・・・
100記事でレポートによるユニーク訪問者数は約5500で1記事あたり55。ページビューは1月あたり約1300、一日あたり43。メインのPhoto Diaryに比べると5~10分の1といったところです。でも、マニアックな内容で好き放題やっている割には、こんなにご訪問いただいてとってもうれしいです。ネームカードによるアクセス解析では、検索エンジンからの来訪が多いのも特徴。拙劣な記事ですが、皆さんのご参考になれば幸いです。

さて、記念すべき100回目は何にしようかと考えていたのですが、やはりエバンスにしましょう。このアルバムにまつわる、あまりにも悲しい話を100記事目にもってくるべきかどうか迷ったのですが、ジャズを語る以上は避けることができないと考えました。ご容赦ください。

ピアノを弾かれる方はお分かりだと思いますが、その日の気分や状態によってだけでも、弾き方や音が変わってきます。それまで歩んできた人生経験が弾き方や曲の解釈に影響を与えることは想像に難くないと思います。そう、音楽にはその人の人生が映し出されているんです。音楽のいろんなジャンルの中でも、ジャズは特にそうではないでしょうか。

ジャズミュージシャンには破滅的な人生を送った人が多いです。エバンスのそれも決して平坦なものではありませんでした。彼の人生にはいつも「死」による別れがつきまとっていました。若き天才ベーシスト、スコット・ラファロの自動車事故死は彼の最高の出会いを深い哀しみに変えました。真偽のほどは定かではありませんが、ラファロの死後、ラファロの服を着てさまようエバンスの姿が見られたという話も伝わっています。夫婦同然に暮らしてきたエレインは、エバンスが他の女性に求婚したことを正直に告げると、地下鉄に飛び込み自殺しました。半狂乱になるエバンス、遠ざけていたドラッグの底なし沼に再び嵌っていきます。「ワルツ・フォー・デビィ」は兄ハリーの娘デビィの為に作曲したという愛に満ちた名曲ですが、そのハリーもピストル自殺をしてしまいます。もはや彼には何も残されていませんでした。体も肝硬変と麻薬で崩壊寸前でした。バンドのメンバーは、そんな彼に病院に行ってくれと懇願しましたが、死期を、そして変られない運命を悟っていたのでしょうか。彼は頑として拒否し、死の直前までライブを続けながら、最期は肝硬変からくる消化管の大出血により51歳の生涯を閉じます。

エバンスには駄作が少ないとされています。「ジャズを習得するのは決して簡単ではなかった。」、そう語っていたエバンスは努力家でもあったのでしょう。どんな時もクールに自己を強力に抑制して演奏するエバンス。彼の演奏の独特のリリシズムの中にはどのような激情が隠されていたのでしょうか。僕が彼のピアノにこんなにもひかれるのは、時折顔をみせる彼の激情ゆえなのかもしれません。麻薬に蝕まれ内省に向かう彼の晩年の演奏は、胸をえぐるような響きで心を揺さぶります。

そして・・・「You Must Believe in Spring」をご紹介しましょう。このアルバムは生前に録音されていましたが、エバンスの追悼盤として、彼の死後に発売されました。あまりに美しく、あまりに哀しいアルバムです。一曲目のB Minor WaltzにはFor Ellein(エレインに)、四曲目のWe Will Meet Again にはFor Harry(兄、ハリーに)という言葉が添えられています。最後のTheme from M*A*S*H にはSuicide is Painlessの副題がつけられています。このアルバムのピアノがエバンスの中でも最高の美しさとなったのは、彼の死の覚悟ゆえなんでしょうか。そう思うと、やるせなくなってきます。

とても重い記事になってしまったことをおわびします。でも、ぜひこのアルバムは聴いてみてください。みなさんに最高の感動をお約束できると思います。
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by shigepianoman2 | 2007-07-16 10:32 | Jazz

Sample This

Sample This
Joe Sample / Warner Bros.



さて、Cursadersは少しお休みして、またJoe Sampleに戻ります。Rainbow Seekerの記事のところで、rayさんが紹介してくださったSample Thisです。早速、購入して聴いてみると・・・おいおい、これいいんじゃないの!そんなわけで、また愛聴盤が一枚増えました。

Crusadersのファンである僕にとっては、すべてがもうすでに知っている曲。安心して楽しめます。一曲目のRainbow Seeker IIのあのイントロが始まると身震いします。かつてのRainbow Seekerが海の荒々しい波だとすると、こちらは清流のようになめらかに流れます。次の曲がI’m Coming Back Againだというのもまた象徴的、Dianne Reevesのボーカルがごきげんです。Carmelは相変わらずかっこいい!これも気持ちよく聴けます。Soul ShadowsはDennis Rowlandのボーカルかあ。Bill Withersとはちょいと雰囲気が違うけどこちらもなかなか。Marcus MillersのBassがクール、オリジナルよりビート感が強いな。In All My Wildest Dreamはなんか、そのまんまでほっとできる。昔も今も楽しいなあなんて思いながらね(笑)。Free as the Windは・・・オリジナルとかなり違うぞ・・・およよ、これは自然に体が動くよ!

It Happens Everydayは好きな曲だけに、ちょっと緊張しながら聴くと・・・よし、悪くない!よかったあ(笑)。おぉっ、フルートがサビのメロディを!なかなかいいじゃないか。これもMarcus Millerがクールだし、Gaddが繊細でびっくり。お次はと、何々Street Lifeじゃないか。雰囲気変わるけど、これもいい。これで僕の知ってるバージョンがオリジナルとJoe Sample & Lalah Hathawayのと三つ目。三つの楽しみ方があると考えると楽しい。Put it Where You Want itはどうやるんだろう。これ学生の時、バンドライブでやったなあ・・・おっと、ちょいスローでずっしりしたリズム。少し妖しい感じでなかなかいいぞ。そしてMelodies of Love。やっぱり名曲だなあ。もうしんみり。ジャジーなアレンジがとっても哀しい。これウッドベースだよね。最後のShreveport Stompsはご愛嬌、ラグタイムだよ、おいおい(笑)。


さて、初めてこの辺の音楽をお聴きになる方にもこのアルバムはお勧めですが、昔からのCrusadersファンにとってはどうでしょうか?Joe Sampleのオリジナルを何度もくりかえし聴いてきた僕からするとやはり別物。絶頂期の輝きや緊張感はありません。Jay Anderson、Marcus Miller、Lenny Castro、Steve Gaddという強力なリズム隊ですが、Stix Hooperの「のり」はやはり彼だけのもの。Joe Sampleのピアノタッチもかつての力強さから比べると幾分繊細でやさしくなっています。でも、今はこの方がすんなりと耳に入ってきます。かつては体中に力を入れてグルーブしていて聴いていたのが、今は自然に流れに身をゆだねるように聴くことができますね。彼とともに、僕も年をとったということでしょうか(笑)。だとしたら・・・いい歳月の重ね方だと思います。

結論・・・初めての人もCrusadersのファンも、どちらにもお勧めできる名盤です!
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by shigepianoman2 | 2007-02-25 22:48 | Jazz

Rainbow Seeker (虹の楽園)

虹の楽園
ジョー・サンプル / ユニバーサルクラシック



カールトンやリトナーのところで話題に出ていたJoe Sampleをご紹介しましょう。Joe Sampleといえば、Crusadersのキーボードとして有名ですね。今日は彼のソロ作品から「Rainbow Seeker (虹の楽園)」をご紹介しましょう。このアルバムは1978年にリリースされて大ヒットしました。Crusadersに関してはたくさん書くことがありますので、また後に記事にいたしますね。

Crusadersといえばファンキーな印象が強いですが、Joe Sampleはこのアルバムでメロディメーカーとしての叙情的な側面をみせてくれます。ドラムはCrusadersのStix Hooperですから、リズムはまさにCrusadersファンクです。しかし、美しいメロディラインはJoe Sample特有のもの。力強いピアノタッチがそれをさらに際立たせてくれます。う~ん、書いていくと叙情的という言葉が軽薄に思えてくるなあ。このアルバムのJoe Sampleらしさを表す言葉が出てこなくてちょっと歯がゆいです。このアルバムには他に強力なホーンセクション、ベースにRobert Pops Popwell、ギターにBarry Finnerty、David T. Walkerなどが参加しています。

一曲目のRainbow Seekerから衝撃です。クールでファンキーなベースとドラム&パーカッションのイントロから、ギター&ピアノが加わり、まるでCrusadersのような・・・でも主旋律のアコピが始まるともうJoe Sampleの世界、彼の強烈な個性が光ります。そしてピアノソロ、もうこれ学生の時から今までに何回聴いただろうか。

そして当時フュージョンバンドをやってると、必ずといっていいほど演奏した三曲目のThere are many stops along the way(道草)も名曲です。これもリズム隊とギターがファンキーでクールだけど、Joe Sampleのピアノが入ってくるとまた数段洗練された音楽に進化します。この曲のアドリブソロは口ずさめますよ(笑)。

道草の感動覚めやらぬうちに、最大の名曲Melodies Of Loveが始まります。Joe Sampleはアコスティックピアノとローズを弾いていますが、どちらも素晴らしいですね。聴いていると昔の切ない恋の思い出がよみがえります。

彼は多くのキーボーディストに影響を与えています。大学のバンドライブのあちこちで、彼の三度下がってから駆け上がるフレーズが聞えてきましたね。シャカタクを始めて聴いた時は、おいおいこんなに影響受けて、というかパクッっていいのかよ、なんて思いました(笑)。

今、聴きながらこの記事を書いていますが、手が何度も止まってしまいます。みなさんもぜひどうぞ!
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by shigepianoman2 | 2007-02-15 23:05 | Jazz

Europa

哀愁のヨーロッパ
ヨーロピアン・ジャズ・トリオ ジェシ・ヴァン・ルーラー / エムアンドアイカンパニー


今日は少し傾向を変えて・・・いやいや、ピアノトリオだから、また元に戻ってってことですね(笑)。

ジャケットに惹かれて買うアルバムってありませんか。このアルバムはそうでした。今の季節だからかもしれませんね。「ああ、このジャケ写真いいなあ、そんなにすごい写真ってわけではないけど、なぜか・・・それにEuropean Jazz Trioだし、まあエバンス系で僕にはたぶん合うだろうな。」なんて考えながらろくに収録曲も見ないで買ったのが今日ご紹介する「Europa」です。

European Jazz Trio (EJT) は1984年にオランダのジャズミュージッシャンによって結成されたピアノトリオ。メンバーチェンジがよくあるグループですが、このアルバムでのメンバーはMarc van Roon (piano)、Frans van der Hoeven (bass)、Roy Dackus (drums) でした。そこにゲストとして4曲にJesse van Ruller (guitar) が参加しています。

まず全体を通して聴いてみると、ヨーロッパ、エバンス系、クラシックを学んだピアニストという三つのキーワードから想像できるように、耳に心地よい美しいサウンドです。流麗ということばがぴったり、泥臭さやとんがったところは全くありません。物足りないとおっしゃる方もいるでしょうね。でも僕にとってはいい出会い、また一緒に秋のかけら写真を撮影できるパートナーができました。

驚いたことにジャズのスタンダードもオリジナルナンバーも採用されていません。ポップス、ロック、フュージョン、クラシック、ボサノバの名曲ばかり。たとえば、ゲストギタリストのJesse van Rullerの選んだ4曲は、サンタナの哀愁のヨーロッパ、アランフェス協奏曲、メセニーのPhase Dance、そしてクラプトンのTears in Heaven。これらの曲がさりげなくジャズしているのが不思議です。他にも、ウェストサイド・ストーリーのMaria、アバのThank You For the Music、ビートルズのBlackbird、ディオンヌ・ワーウィックの小さな願いなどなど。最後はWhat a Wonderful Worldで静かに終わります。

何もない日に、何もしないで、ティーカップで手を温めながら、そして外の風景をのんびり眺めながら聴く、そんなアルバムに思えました。
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by shigepianoman2 | 2006-12-06 21:05 | Jazz