Shige's Photo Diaryに登場する曲を中心に音楽についての四方山話を綴ります


by shigepianoman2

I Don't Want To Wait

「祈るような声で歌が始まった。少しドライなドラムとシンプルなコーラス、それに続く印象的な声。そして、衝撃と圧倒。呪縛されたかのように、幾度か繰り返し聴いた。日本語に訳そうとしたが・・・いや、訳さなくていい。英語のそのままの響きと、そのままの意味が心を突き刺した。何回聴いたあとだろうか、自然に涙がこぼれた。」

初めてこの曲を聴いた時の印象はこんな感じでした。たまたま詩的な気分だったんでしょうか(笑)。それが今日ご紹介するI Don't Want To Waitです。

This Fire
Paula Cole / Warner Bros.




先日、まだちゃんと聴いてなかったCDをふとかけてみました。そう何かのオムニバス盤、おそらくはその年のヒット曲を集めたようなCDでしょう。ポーラ・コール(Paula Cole)・・・どっかで聞いたことあるな。たしか、オフ会の時、この名前が出ていたような・・・まあ、聞いてみよう。それがI Don't Want To Waitとの出会いでした。ひさびさに心に響いた曲でした。

ポーラ・コールはヴィジュアルアーティストの母と、ポルカのバンドでベースを弾く一方で昆虫学の博士号も有する父の間に生まれました。幼少時から音楽に親しんでいた彼女は、バークリー音楽院に入学、発声法、ジャズ・ヴォーカルやジャズ・ヴォーカル・インプロヴィゼーションを専攻しました。1992年にプロデビューしてから紆余曲折の後、1996年10月にアルバム「This Fire」がリリースされ、その中からシングルカットされたI Don't Want To Wait、Where Have All the Cowboys Gone?は大ヒットしました。アルバムは200万枚以上のセールスを記録し、1997年度グラミー賞Best New Artist賞受賞、他主要6部門ノミネートという快挙を成し遂げました。中でもプロデューサー部門で女性がノミネートされたのは初めてのことだそうです。

ん、なになに、バークリーの優等生?それにしては・・・この曲はまるで心からほとばしるような響きを持っています。自分の内なる声をこんなにうまく表現できるなんて、すばらしいことです。いったいどんな人なんだろう。ますます興味がわいてきますね(笑)。

さて、I Don't Want To Waitですが、メロディと詩が一体となっている巧みさからなのか、心からそのまま言葉が出てきているためなのか、強いメッセージを伴って心に入ってきます。決心してあえて訳しましょう。そうすると良さがどうしょうもないほどスポイルされてしまうんですが・・・例のごとく勝手に意訳します。

彼女には二人の子供がいた
1944年の戦争の時には
ひとりは6ヶ月、ひとりは3才だった

電話が鳴るごとに
鼓動が胸に突き刺さるようだった
そう神様がお召しになると思って

ああ、息子が物心ついたときに
父は生きていてくれるかしら

生命が終わるのを待ちたくはない
私は今知りたい
それがいい結果になるのか
残念なことになるのか

父はずぶぬれになって玄関に現れた
皮膚には弾の破片を受けていた

彼が見た戦争は今でも彼の心に影をさす
だから彼はどうしても、優しくも温かくもなれない
時が過ぎて彼にはもう孫娘もいるけど

もう少し深く息を吸い込んでみてよ
私たちには今この瞬間だけがあるの
私は彼の父親がしたようなことはしたくない
私はここにいたいの


ここまで訳してきて・・・もしかして彼女の両親はヒッピー的な生き方をしていた人だったのだろうかとふと思いました。彼女の詩の中にヒッピー文化の香りがしたんですよ、平和を求める彼らの生き方の香りが・・・。どう思われますか?

YouTubeの動画をここにおいておきます。


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by shigepianoman2 | 2008-01-16 20:50 | Pops