Shige's Photo Diaryに登場する曲を中心に音楽についての四方山話を綴ります


by shigepianoman2

コンサート・フォー・ジョージ  その3

コンサート・フォー・ジョージ
/ ワーナーミュージック・ジャパン




さてコンサート・フォー・ジョージの記事も締めくくり、その3です

クラプトンのシンプルなMCとともにあの人が!
「Please welcome Ringo Starr !」
会場は盛大な拍手喝采に包まれます。リンゴの人柄もあってか、ステージは完全にリラックスムードです。

Photograph
いつものようにジョークで観客を笑わせたあと、「ジョージとの共作のPhotographを歌います。歌の意味はもちろん変わったけど・・・」そんなリンゴのMCで始まるのがこのPhotograph、1973年に全米No.1の大ヒットを記録したナンバーです。そう歌詞は・・・やっぱり涙が出てきます。

君の顔をみると、君と行ったいろんな場所を思い出す
でも、いまあるのは君の写真だけ
そして君はもう帰ってこないと気付くんだ

悲しい恋の歌ですが、この場でみんなジョージのことを思い浮かべていたのはいうまでもありません。そう、これがリンゴのいう「歌の意味は変わったけど・・・」なんです。ダーニもリラックスしてリンゴが歌っている背後でクラプトンと笑いながら会話を交わします。ステージのミュージシャンはそれぞれが歌いながら、時折アイコンタクトをとって、一体になっていきます。

Honey, don’t
こういうコンサートの最後の方に絶対でてくるのが、ロックンロールナンバー。やっぱり、のりのりスリーコードじゃないとね!Honey don’t はカール・パーキンスのナンバー、初期の「Beatles for sale」のアルバムに収録されています。アンディー・フェアウェザーのギター、ゲイリー・ブルッカーとビリー・プレストンのキーボードがご機嫌です。それにしても・・・リンゴってこんなにうまかったっけ?(笑)

そして、今度はリンゴがMCで次のゲストを紹介します
「It gives me great pleasure to introduce another friend of George’s. Paul McCartney !」
いったい、このライブ、どこまで盛り上がるんだろう!

For you blue
ギターのイントロともに始まるのはFor you blue。ポールのハイトーンがかっこいい!アルバム「Let it be」に収録されたナンバーです。やっぱりカメラいいよ、ポールとクラプトン、ポールとダーニの姿がさりげなく重なっている。あぉ~しかもリンゴも歌ってる。しかし、いったいこのステージの上で何人がギターを弾いてるんだろう(笑)。クラプトン、ジェフ、ダーニ、ポールにあと何人か。そういえばドラムもすごいですよ。4人?(笑)。それが一体となって、素晴らしい演奏となって・・・もう一回日本でやってくれないかなあ。ポールとジョージはいろいろあったけど、小学生以来のつきあい。解説にジョージの病床でポールとリンゴがジョージの手をとりながら子供のように号泣したというエピソードが書いてありましたが、死の床に伏す友人を前にどんな気持ちだったのでしょうか。想像しがたい悲しさだったでしょうね。

Something
「ジョージの家に行くと、夕食が終わったあとウクレレがでてくる。そこでこんな曲を僕は弾いたんだ」。そしてポールが歌うのは・・・もう画面が見えない・・・Somethingです。そういえばこのウクレレ、ジョージからのプレゼントだった。Dance tonightでもこれを弾いたのかなあ。ウクレレとリンゴのブラシのリズムにのって、ポールが歌うSomething、感涙ものです。観客も思わず体を左右に揺らしながら手拍子です。でも感動はそれだけで終わりません。途中から8ビートに変わりオリジナルに忠実に演奏されます。リードボーカルはクラプトンにスイッチし、ジェフ・リンがコーラスを、なにっ、そのあと、クラプトンとポールが目を合わせながらコーラスを!クラプトンとポールの歌うSomething、こんなものが見られるとは思いませんでした。

All things must pass
ああ、もうどうにでもなれって感じになってきました。ポールがまさか、All things must passを歌うなんて。この曲、こんなにいい歌だっけ?「こんな灰色の日々も、いつしか過ぎ去ってゆく、すべては過去のものとなる」、サビのところでジョージの遺影が・・・やっぱり涙です。ここまできて、それぞれのミュージシャンがどういう理由でそれぞれの歌う曲を選んだのか、知りたくなりました。ビートルズという巨大な化け物を経験し、ここまできたポールがこの歌を歌う理由がなんとなくわかるような気がします。あぁ~カメラがポールと背後のクラプトンとダーニを一緒に・・・またやられた(涙)。

While my guitar gently weeps
ビートルズの「ホワイトアルバム」に収録されたあまりにも有名なナンバーですね。クラプトンがギターを演奏したことでも有名です。ん?ということは、ここにオリジナルレコーディングのメンバーのうち三人が集っているということ。リンゴのドラム、ポールのピアノ、そしてクラプトンのギター。ああ、ここにジョンとジョージがいれば!ポールのオリジナルどおりのピアノとともに始まり、クラプトンがリードをとります。そして、ここでもポールとクラプトンがコーラスします。なんてことだ、クラプトンがオリジナルレコーディングと同じソロを弾いてくれた。曲調もあってか、それともメンバーも感極まったのか、エネルギッシュな演奏が続きます。パーカッションのレイ・クーパーなんて、いつもよりも頭を振ってる気がします(笑)。後半のクラプトンの気迫の”スローハンド”ソロはもう最高ですね。彼のベストパフォーマンスのひとつではないかとも思います。

My sweet Lord
バンドの演奏はクライマックスに向かいます。澄んだギターカッティングとともに始まるのはMy sweet Lord、ビリー・プレストンがリードをとります。スライドギターが泣かせますね。静かにバックに徹するポールも印象的です。しかし、ビリーはなんて楽しそうに歌うんだろう。この記事で何度もでた言葉、「温かい」がこれほど似合う人もいないだろうなあ。ステージのメンバーだけでなく、もう観客も総立ちになってみんなでいっしょに歌っています。

主よ、私はあなたに会い、あなたの傍にいることを願っています
でも、その道はこんなにも遠いのですね、ああ主よ

純粋に神を信じる心を感じる歌です。どんな宗教の人が聴いても共感するのではないのでしょうか。実際、ジョージが好きだったインド音楽の演奏家も含め、さまざまな宗教の人々が同じステージに立ち、歌っていました。この曲は大ヒットしましたね。全米で4週間、全英で6週間、No.1に輝きました。ビートルズメンバーのソロとしての初ヒットでしたね。

Wah Wah
うぁ~うぁ~っ、Wah Wahだ!アルバム「All things must pass」から。オリジナルではクラプトンとジョージが左右に分かれてツインギターでのイントロだったなあ。かっこいい!PCの前で体を揺らしながらタイプしている僕を見て妻が笑ってます。しかし、この歌、ポールにうるさくいわれて、うんざりしたジョージが「もう、わーわーは要らない!」って作ったんではなかったっけ?ポールはどんな心境だろうか。いや、もうずいぶん前の話。きっと思い出に変わっていることでしょう。いやあ、こう見るとジョージってほんとにいい曲書いてるなあ・・・エンディングにステージのみんながWah Wahって歌っているところは壮観ですね。最高の盛り上がりのなかバンドの演奏は終わります。

バンド演奏が終わったところでダーニ・ハリソンが挨拶と共にジョー・ブラウンを再度紹介します。そこにポールがカットインして「オリビア(ジョージの奥さん)が、ダーニがステージにいると、ジョージだけが若くって他の人が老けちゃったみたいだねって」。それくらいダーニはジョージにそっくりです。

そして最後の最後。静かにジョー・ブラウンが歌い始めます。

I’ll see you in my dreams
ウクレレ片手に歌うジョー・ブラウンがまた温かい。サビのところにくるとわずかな手拍子だけを残し、観客も静まり返ります。だって、その歌詞が・・・「君と夢の中で会いましょう。夢の中で抱擁しましょう」。天井からは赤と黄の紙ふぶきが舞い、それがジョージの遺影と重なって悲しみを増します。ここのカメラワークはもう最高、完全にやられました(笑)。徐々に退場していくメンバー。まず、ダーニとジョーが、そしてオリビアとジョーが、そして今度はポールとオリビアが抱擁します。リンゴがいつものようにおちゃらけて・・・あぉ~ひときわ大きな歓声とともにリンゴとポールが抱擁を!最後はジョージの遺影のフェードアウトで幕を閉じます。

ミュージシャンにも感動ですが、この映像を作った人にも感動ですね。どの楽器のどの部分をとるとかっこよく見えるか、どのメンバーの表情をどのタイミングで捉えるか、まさに絶妙です。音楽を、そしてジョージとその仲間たちを知り尽くしていないと、この編集はできません。素晴らしいです。

そういえば、このDVDでは誰もお堅い哀悼の言葉などを発していません。ただ、自分が好きだから、好きなジョージのナンバーを歌う、そんな空気が感じられます。それぞれがジョージの曲を自分の曲であるかのようにものにし、おそらくいつもよりも何倍もいいパフォーマンスで演奏しています。こんなライブ、他にないでしょうね。もしかしたら、メンバーの誰もジョージが亡くなったって思っていないんじゃないだろうか、今ここにジョージが一緒に立っていると思っているんではないだろうか・・・そう思わずにはいられません。ひとりのミュージシャンの死が人々を結びつけて最高の夜を演出する、素晴らしいことですね。

ジョージのファンならずとも、このDVDはおすすめです。音楽というものの本質を垣間見ることができます。

ながながとお付き合いありがとうございましたm(__)m

Photograph、Something、Wah Wah!の動画を置いておきます。






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by shigepianoman2 | 2007-11-09 20:55 | Rock